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 ところで皆さんは、こんなことを疑問に思ったことはないでしょうか。例えば魔導師ギルドで美しいマジックアイテムの数々を目にしたとき、あるいは古い遺跡で珍妙な形をした魔導生物たちを目にしたとき、「これはいったい、誰がどうやって造っただろう?」と。
 木工や陶芸の得意な魔導師などそうそういるものではありません。それなのに魔導師は魔導物品をひとりでも生成できると誤解されがちです。でもあなたが繊細な彫刻や巧妙な細工の施された魔導物品を目にすることがあったら、これからはその陰にある「ティンカー(Tinker)」と呼ばれる匠たちの存在を思い出してください。

 「ティンカー」は「渡り職人」と訳されることが多いのですが、その名前には他にも様々な意味が込められています。「修繕屋」「何でも屋」「行商人」・・・それら全てが「ティンカー」の一部です。でもこの世界のティンカーは道具を作ったり直したり売ったりするだけの単なる「道具屋」ではなく、独創性に富む「芸術家」でもあるのです。例えば椅子ひとつを作るにしても町の木工職人が作るような常凡な作品など絶対に作りません。とことん機能美にこだわる人もいれば、美しさにこだわるあまり座れるか座れないかのスレスレのラインを狙ってしまう?人もいます。いえ、そもそも座れるか座れないかなど考えたこともないという人だっているかもしれません。それが「ティンカー」なのです。

x  ティンカーの多くは町から町へと渡り歩き、町々で作品を売り歩く渡り鳥です。そして彼ら渡り鳥の多くは、どうやらどの町に行っても歓迎される存在のようです。なぜでしょう?多くのティンカーが生活に役立つ便利な道具を作るからかもしれません。あるいは少なくとも美しくて(面白くて?)無害なものを作るからかもしれません。これは同じく「ものづくりの名人」であるアルケミストがしばしば敬遠されるのとは大きな違いですね。(※もちろん例外もあります、迷惑なティンカーがいないわけではありません・・・)

 しかし、ティンカーの上得意といえばなんといっても魔導師です。実はティンカーは魔導物品や魔導生物のボディを造れるこの世では数少ない貴重な存在なのです。そればかりか、ちょっとした?マジックアイテムならば彼ら自身の手で作り上げることだってできます。だから魔導師は魔導物品の材料を買い求めるだけにとどまらず、ティンカーからマジックアイテムそのものを買うことすらあるようです。

 そういった縁もあってか、普通ティンカーは独立したギルドを持たずに魔導師ギルドに所属しています。自分たちのギルドを持ちたいとは思わないのか?と感じる人もいるかも知れませんが、当のティンカー自身はこの現状に満足しています。陽気で、野心を持たず、ものづくりができれば幸せ・・・この性格も彼らが人々から好かれる理由のひとつかもしれません。

■ Tinker ■
ヒットポイント クラスレベル×1d6+肉体基本値
能力値修正 器用度+1以上、知力度±0以上、魅力度+1以上、ほか自由
魔導 -
特殊技能 魔導語読解、古体魔導語読解、魔導物品生成、魔導生物生成、鍛造、エンチャント、リペア、からくり、マリオネット、試掘、原材料知識
備考