“バード”のクラスの人たちは、天衣詩抄の世界で特に重要な役割を果たします。なにしろ『天衣詩抄』自体が吟遊詩人たちによって歌われたものなのですから。
でもそれだけではありません。天衣詩抄の世界では、吟遊詩人たち自身にもそれなりのエピソードがあります。
かつて詩や歌は魔導でした。生まれつき眼の開かれた者にだけ許された強大な力を持つ魔導でした。彼らは歌うことで詩神と一体になり、聴く者の魂を揺さぶることができました。更に、音階に怒りを乗せる事で聴く者を焼き殺す事だってできました。
こんな力を持つバードです。ギルド(ここでは魔術師ギルド)の連中が黙って見過ごしている訳がありません。まだ幼いうちにギルドから使いが訪れて強く入会を迫ってくる事でしょう(もちろん、ギルドの方から入会を迫るなんてかなり特殊な事ではありますが……)。どうやら、ここでその強い勧誘に押し切られ魔導の道を歩む者もがほとんどの様です。
しかし中には入会を拒む者もいます。そうなると、もうギルドから睨まれることうけあいです。初めの内こそ飽く迄温厚なギルド側も、そのうち刺客さえ送ってくる様になるでしょう。こうしてバードは追手から逃げ続ける事になってしまいます。
もちろん、単純に歌の好きなだけのバードが世の中の大半を占めます(注:こういったバードは『アザークラス』に含まれます。)。だから彼らは、自分の魔導の力は隠すため、吟遊詩人として旅するのです。
でも、マジックユーザーが同じパーティにいても“バード”は大丈夫なのでしょうか?答えは「まず大丈夫」です。マジックユーザーのところでも言いましたが、一般にマジックユーザーは(ギルドマジシャンを除いて)魔術師ギルドが嫌いな様です。「いっそ世の中から魔術師ギルドなんか無くなってしまえばどんなに楽か!!」とまで思っているマジックユーザーがほとんどです。だからパーティの一人が“バード”である事に気付いても、きっと陰ながら応援してあげるといった感じでしょう。
《Bard》 | ||
ヒットポイント | クラスレベル×1d6+肉体基本値 | |
能力値修正 | 魔力度+2、魅力度+1以上、ほか自由 | |
魔導 | 好きな魔導を1つ | |
特殊技能 | 詩歌、魔導語会話、古体魔導語読解、古体魔導語記録、古体魔導語会話、小魔術 | |
備考 | 全ての能力値がそこそこ高くないと厳しい(敏捷以外できれば2桁) |